工場や倉庫の屋根から雨漏りが発生した際に、「少しだからとりあえず放置しても大丈夫だろうか」と思う方もいるでしょう。
また、「すぐに修理を依頼できないから、自分で対策できないだろうか」「修理を依頼するとしたら、どんな工事を提案されるのだろうか」と疑問をもつ方もいるでしょう。
雨漏りを放置するとさまざまな被害につながるため、基本的にはすぐに対処することが大切です。今回は、雨漏りを放置してはいけない理由や雨漏りが発生する原因、対処法や使用できる補助金について解説していきます。
■屋根から雨漏りが!考えられる二次被害とは
雨漏りは工場や倉庫において特に多い不具合のひとつで、台風や豪雨などの自然災害がきっかけで発覚する場合が多いです。修理箇所や修理内容によっては工場や倉庫での作業を中断し、コストをかけて修理しなければならないため、対応を先送りにしてしまうこともあるでしょう。
しかし、雨漏りを放置すると二次被害につながることもあるため、注意しなければなりません。ここでは考えられる二次被害について解説します。
・機械・設備の水濡れによる故障
工場や倉庫の屋根で雨漏りが発生すると、稼働している機械や設備が雨水で濡れてしまい、故障してしまう恐れがあります。しかし、故障した機械や設備を修理するとなると、使用できない期間は業務に支障をきたしてしまいます。また、精密な機械は修理費用も高額な場合が多いので、雨漏りをした箇所の修理の費用と合わせて大きな出費になってしまうでしょう。
・漏電や漏電火災
雨漏りが発生したことで配線が濡れてしまうと、漏電によって機械が故障する恐れがあります。従業員が誤って濡れた配線に触ってしまうと、感電する事故にもつながりかねません。また、漏電によって放電したことが原因で、周囲の可燃物に引火して火災に発展してしまうこともあります。配線は作業の邪魔にならないところにある場合が多く、普段見えにくいからこそ漏電を発見しにくいため注意が必要です。
・カビの発生
雨漏りで工場や倉庫の内部や資材などが濡れてしまうと、カビが発生してしまう恐れがあります。衛生環境が悪いなかで作業がおこなわれると、商品の品質にも影響を与えかねません。雨漏りで商品が濡れたりカビが発生したりすれば、商品が販売できなくなるリスクもあります。また、カビがアレルギーの原因となり、従業員が健康被害を受ける恐れもあります。
■工場や倉庫の屋根で雨漏りが発生する原因とは
工場や倉庫の屋根で雨漏りが発生するのには、いくつかの原因が考えられます。ここでは「波形スレート屋根」と「折板屋根」のそれぞれの場合で考えられる雨漏りの原因について解説していきます。
・波形スレート屋根の場合
波形スレート屋根とは、セメントと補強繊維を混ぜ込み、波形に加圧成形した屋根材のことです。安価で耐久性や耐火性があり、遮音性に優れていることから周囲へ作業音が漏れにくいというメリットがあります。環境にもよりますが、寿命は30年前後といわれています。
ただし、2004年以前に製造された波形スレート屋根にはアスベストが含まれている可能性があるので、修理や撤去の際には注意が必要です。
波形スレート屋根で雨漏りが発生する原因は、主に次の2つが考えられます。
①フックボルトのサビによるゆるみや抜け
屋根材を固定しているフックボルトが経年によって錆びてしまうと、フックボルト自体が腐食してゆるんでしまったり、抜けてしまったりすることがあります。本来しっかりと固定してあった部分に隙間ができてしまうので、そこから雨水が侵入してしまい、雨漏りへとつながってしまいます。
②屋根材のひび割れやゆがみ
経年によってフックボルトが錆びてしまうと、フックボルト自体が肥大化し、屋根材にひび割れやゆがみを生じさせてしまうことがあります。ひび割れの部分やゆがみによってできた隙間から雨水が侵入してしまうことで、雨漏りが発生してしまうこともあります。
・折板(せっぱん)屋根
折板屋根とは、ガルバリウム鋼板や亜鉛メッキ鋼板、塩ビ鋼板などの金属板を波型に成形した屋根材です。丈夫で軽いことから、自転車置き場や車庫をはじめ、工場や倉庫などの大型建築物の屋根にもよく使われています。
ただし、金属であるため錆びやすく、断熱性が低いというデメリットもあります。サビを防ぐための定期的なメンテナンスや、暑さ対策として断熱材などの施工が必要となるでしょう。環境にもよりますが、折板屋根も寿命は30年前後といわれています。
折板屋根で雨漏りが発生する原因は、主に次の3つが考えられます。
①フックボルトのサビによるゆるみや抜け
波型スレート屋根と同様に、屋根材を固定するフックボルトは経年によってサビが発生しやすくなります。フックボルトが錆びたことでゆるみや抜けが生じ、その隙間から雨漏りが発生してしまいます。
②屋根材のサビ
フックボルトが錆びてしまうと、屋根材ももらいサビによって穴が開いてしまうことがあります。また、屋根材自体も経年の腐食によって穴が開いてしまうことがあります。
③屋根材のゆがみや浮き
折板屋根は金属なので、経年とともに収縮や膨張をしたり、台風や地震などでゆがんでしまったりすることがあります。ゆがみが生じることで屋根材の一部が浮いてしまい、その隙間から雨水が侵入してしまいます。
■雨漏りが発生した場合の対処法
雨漏りが発生しているということは、建物全体の劣化が進行していることが考えられます。自分で対処しようとしても、雨漏りの原因を特定できなかったり、完全には防ぎきれなかったりする可能性が高いでしょう。
適切な対処がされなければ建物の劣化はより進行し、雨漏りの被害も拡大しかねません。また、高所での作業は転落事故のリスクもあるため、自分で対処するのは危険です。必ず専門業者に雨漏りの原因調査と修理を依頼するようにしましょう。
雨漏りの修理を専門業者に依頼した場合、修理方法は主に次の3つです。それぞれについて解説します。
・防水塗装工法
防水塗装工法とは、屋根を洗浄して傷んだフックボルトを交換し、防水塗装で仕上げる方法です。屋根自体は既存のままなので、新しい屋根材が不要であることから、短期間でコストを抑えた修理が可能です。塗料には遮熱性のあるものもあるので、同時に暑さ対策を行いたい場合にも効果的です。
・重ね葺き工法(カバー工法)
重ね葺き工法はカバー工法とも呼ばれ、既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねて施工する方法です。既存の屋根を撤去する必要がないため、低コストで施工が完了します。また、屋根が二重になることで、断熱性や遮音性も向上します。
・葺き替え工法
葺き替え工法とは、既存の屋根を撤去して、新しい屋根を施工する方法です。屋根は新しくなるため性能は向上しますが、大掛かりな工事になるためどうしてもコストがかかってしまいます。また、工場や倉庫の稼働を止めなければならないため、あまり現実的な方法とはいえないでしょう。
■屋根の修理に使用できる補助金
屋根の修理をする際には、場合によっては補助金を利用できるケースがあります。ここでは補助金の一例を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
・事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、事業転換や新分野展開、事業再編などを行う中小企業を支援するための、中小企業庁による補助金制度です。申請するためには「事業再構築」の定義に該当する事業であることや、業計画を金融機関等や認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受けていることなどの要件を満たす必要があります。
・先進的省エネルギー投資促進支援事業
先進的省エネルギー投資促進支援事業とは、工場や事業場において実施されるエネルギー消費効率の高い設備への更新等を支援するための、資源エネルギー庁による補助金制度です。特に先進的な省エネ技術や設備の導入を行う省エネ投資について、重点的に支援が行われます。
・国際情勢の変化を踏まえた原材料安定供給対策事業
国際情勢の変化によって供給途絶リスクが生じているパラジウムや石炭などの原材料を安定供給するために、国内で生産関連設備の整備を行う企業に対して経済産業省が行う補助金制度です。要件を満たした事業者は、建物や設備の導入に関わる費用の補助が受けられます。
■まとめ
工場や倉庫の雨漏りを放置してしまうとさまざまなリスクがあるため、なるべく早く専門業者に修理を依頼しましょう。修理には費用もかかるため、活用できる補助金制度があれば、積極的に利用しましょう。
栃木県那須塩原市を拠点とする株式会社ゼストは、お客様に「便利」をお届けします。現状に合わせて最適なご提案をし、屋根の葺き替え工事から雨樋工事まで、建物の美観と機能性を向上させるリフォーム工事をご提供いたします。
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